本宮ひろ志自身がどのような思想の持ち主か知らないが、ごく一般的な常識的な考えかたの人ではないだろうか。もっとも彼の作品は男を強調した、ややアナクロ的なものが多いので、決して進歩的ではないと思う。マンガ自身を見ていないので軽々しいことは言えないのだが、「旧日本軍が南京で市民らを殺害し」たのは事実だし、その表現についての問題なのだろう。その意味では「歴史を歪曲」しているかどうか。抗議した側のいいぶんについて首をかしげざるをえない。また、描写についてもあくまで作者の想像力の部分もあるだろうし、そのあたりは許容範囲ではないだろうか。
残念なのは集英社が腰くだけで、作者を守ることなく休載にしたことだ。右からのイデオロギー攻撃に弱いのは大手の新聞・出版に共通しているが、このような歴史の描写や表現についてタブー視するような傾向が出ないように願いたい。
Excite ニュース
抗議受け漫画休載 南京大虐殺めぐり集英社
「週刊ヤングジャンプ」で連載中の漫画「国が燃える」(本宮ひろ志氏作)に登場した南京大虐殺の描写に対し、地方議員グループが「歴史を歪曲(わいきょく)している」と抗議したのを受け、発行元の集英社は13日、28日発売号から当分、この漫画を休載することを明らかにした。
集英社は「描写の参考にした写真は『ねつ造された』との指摘もある。そういう資料を使ったのは不適切だった」としている。
「国が燃える」は昭和初期の官僚の半生を描いたフィクションで、2002年11月から連載。9月16日発売号と22日発売号で、旧日本軍が南京で市民らを殺害する様子を描いた。(共同通信)