小学生の5年生ぐらいだろうか。小型バスで自宅(福島県)から岩手の釜石あたりまで家族旅行をしたことがある。海岸沿いの道をずっと車で移動していったのだが、港のある街並みの風景はうらぶれていて不思議と懐かしい雰囲気をかもし出していた。いつかもう一度訪れてみたいと思っていた。あの風景をもういちど確認してみたいと漠然と憧れに似たような想いを擁いていた。だが、それももう叶わないようだ。地震の影響による津波の映像をみていて、その自然の猛り狂ったような力を思い知らされたような気がした。それとも社会が変わっていくという現実を確認するために、記憶を封印せよということなのだろうか。いずれにせよあの宮城県から岩手のあたりの海岸線はきれいな風景のところが多い。20年ほど前に仙石線などを使って釜石まで大晦日に旅をしたことがあったが、ほんとうに風光明媚であった。その地域が津波で破壊されていることを想うと胸が痛い。再生した街や風土をいつか訪れてみたいと心から願う。