美空ひばりの映画を観に池袋の
新文芸座に行った。2年ぶりだ。
映画を観るために、昔は「ぴあ」を購読していたこともあったな――(とおい昔である)。
とくに情報を摂取しないと、映画は観にいかないもんだ。
番組表や館内に設置してある映画のチラシをみてみると、当然だがいろんな映画が観れるのである。映画界は不況なのかもしれないが興行の数は減っていないんではないだろうか。
私自身は話題の映画はDVDになってからレンタルで観るということしている。というわけで劇場にはご無沙汰なのだ。また、このような名画座は2本立てである。そういう意味ではお得なのかもしれないが、この忙しいご時世だ。一本90分として二本みると3時間はゆうに超えてしまう。きょうび3時間を映画に費やすのはなかなかむずかしい。
昔は平気でオールナイトを観たりしていたのだが、どうも2本つづけて映画を鑑賞するということに耐えられなくなっているのだ。
これは現代の忙しい生活サイクルが、そのように集中する時間が、身体的に持続不可能になってしまったことなのかもしれない。たとえば孤島とか、田舎の何もないところにいけば問題ないのかもしれない。ただ、田舎でも車で移動して、郊外型のスーパーやディスカウントストアにいくというスタイルになっている、その点で消費行動に差はあまりないようだが。
美空ひばりの映画は『
お嬢さん社長』(1953・松竹)(16mm)というもので、浅草を舞台にお菓子の会社をまかされたひばりが、あの手この手で経営を盛りたてようとする。
大坂志郎と
有島一郎といういい役者がてでいる。二人ともいい味をだしている。それだけでも観る価値がある。
なかでも大坂志郎扮する看板屋が商品デザインについて語るシーンは、
レイモンド・ローウィの『
唇から機関車まで』をもちだしてデザインや広告・宣伝の重要さを説くところがでてくるが、モダニストといわれる
川島雄三監督の面目躍如というところだろう。