町山智弘のラジオを聞いてブルックリンを舞台にした映画の紹介をしていた。映画のタイトルを失念したが、ブルックリンとはニューヨーク州の下町的なところで川を越えて移民が多く住んでいるところ。日本で言えば川崎みたいな位置にあるところ、という話があった。沖縄であったり、朝鮮半島からの移民があったり、地方からの人も混在している街だ、ということで類推していたのだが…。
さて川崎には2年くらい住んだことがある。最近もたまに行ったりすることがあるのだが繁華街は驚くほど変わっていない。正確にいえば建物や店など変わっているのだが、既視感というものがまったく変化がない。隣の鶴見駅はかなり変わってしまい。昔のゆったりした田舎駅のような感じがなくなって、手狭で類型的な今風の地方駅になっていた。周囲も温泉町のようなのどかな部分と享楽的街路が折衷されたような雰囲気はなくなっていた。それに比べると川崎というのは、いつまでたっても1980年代的な感じで、この80年代というのも微妙な言い方で正確にいえば80年代初頭のバブルを予感させる刹那的な世界なのだが、うまく表現できない。
いずれにせよ川崎に住んでいる人と、世間で流通している川崎とはけっこうギャップがあり、一般的なイメージはやはり京浜工業地帯で工場と労働者の街ということだろう。間違っているわけではないが、ある意味でたそがれていて、すでに20世紀で終わってしまった地域ということでもある。それは地方都市の現在の状況とも共通するのだが、その廃墟一歩手前の寂れた光景とダブっている。