韓国で話題になったネット新聞「オーマイニュース」が日本でも開設された。日本ではあのソフトバンクが出資して立ち上げたそうで、編集長には鳥越俊太郎がついた。そこまではいいのだが、当初は記者の登録ができなかったり、コメントが書けなかったり、アクセス不能になったりとあまりいい印象ではなかった。
最近はようやく落ち着いてきたようで、ストレスなく見れる。ただBフレッツでの接続だからなのか、そのへんはわからない。気になるのは、主張を掲載しているだけの記事があることだ。新聞では社説などで独自の意見を展開するのだが、「オーマイニュース」は市民の新聞を標榜しているので、多様な意見のひとつとして表出するのである。しかし、時の政権や体制に対して迎合的か批判的かという価値判断は必要だろう。新聞やジャーナリズムの基本としては、あくまで国家・体制権力とは一定の独立した視点からものを考えるのが常道だと思うのだが、それがこの新聞のスタンスとして確立していないようだ。へんな話だが、ひとつの事象をめぐって対立する意見が表明される。それが、新聞やメディアの公正中立性として語られることも多いのだが、それは大衆へのもたれかかりであり、安易な思考停止のなにものでもない。
もちろん、ないものねだりなどするつまりはない。現状の三大新聞でも広告主や大企業には及び腰だし、時の権力に迎合的で、どちらの側なのかと疑いたくなる。それでも当初は新聞の社会の木鐸として規範を期待されていたと思うし、それが原則ではあるだろう。そのことを思いこさせてくれるいい機会なのだから、「オーマイニュース」にはそこにこだわってほしいのである。