『消えゆく同潤会アパートメント』河出書房新社
いささか昔になるが03年に取り壊す前の江戸川橋の同潤会アパートを見学したことがある。
いままで外観なり、中庭は失礼してよく観察させてもらったことはある。もちろん他の同潤会のアパートも見てはいた。代官山、大塚女子アパート、青山、清澄など。
そのうえで、やはり欧米のアパートとの違いは感じる。例えばパリのアパート、オランダのアパートなど、こちらも当然に階段しかなく。不便ではあるのだが、あと百年は使えそうなものが多い。また部屋もゆったりとした間取りである。もちろん狭い部屋もある。一番違うのは高さではないだろうか。
江戸川橋の独身用の部屋を見学したときに感じたのは天井が以外に低いなということだ。計ったわけではないので断言できないが、欧米人と日本人の背の高さが反映されていると思う。戦前の建物だから平均身長も伸張するだろう。その観点だと仕方がないのかもしれない。でも国内に残存する他の近代建築をみてもむしろ天井が高く立派なもんが多い。とすると居住・生活については背を伸ばすような発想はないということか。
まあ今のマンションでも天井が低いものがけっこうありますが…。