酒井隆史『通天閣』(青土社 2011年)を読む。やたら大部で734ページもあるので、部分的に拾い読む。
あまり通史的に書かれたものではない。いわばカルチュラル・スタディーズの地域社会史だろうか。
いわゆる大戦前の話がメインなので、あまり食指は動かないのだが、ジャンジャン横丁(ジャンジャン町)の話なども興味深いのだが、ちょっと文学的すぎる。
第五回国内勧業博覧会についての話なども『無縁声声―日本資本主義残酷史』(平井正治 藤原書店 1997年)比較して読むとおもしろいかも。たぶん引用されているんじゃないか。
釜ヶ崎については1920年代には「黄金時代」が形成されていて、警察権力が及ばない独自の社会があったという。1916年に大阪府から飛田の遊郭設置指定がなされたという。
飛田については地域史的記述が多いので、いまいち乗れないが、類書が出されそうなのでそちらを期待してみよう。
大島渚の『太陽の墓場』や田中登『マル秘 メス市場』についての釜ヶ崎・通天閣周辺の空間を読み解く論述はやや難解ではないか。
ここに参照されている映画を鑑賞してのち、再読してみよう。