マイケル・ムーアの
ボウリング・フォー・コロンバインは、アメリカのコロンバイン高校の銃乱射事件を起こした少年たちが、犯行前にボウリングに興じていた、というエピソードにヒントを得てタイトルにしたのだが、映画のなかでもボウリング場が簡単に紹介されていた。
そういえば高校の修学旅行のときに旅行先で、自由時間にボウリングへ数人連れ立っていったやつがいたことを思い出した。そのときは何を好き好んで旅先まで来てやるかよ、と思ったが、そこは、それぐらいしか遊ぶところがないのだった。
私的な思い出を語れば、ちょうど中学から高校までがボーリング全盛期だったと記憶している。高校の夏休み、バイト先の会社でレクレーションでボウリングが盛り上がっていたのを、なんと大げさなものかと思って聞いていたことも憶えている。
要するに、周りはすごいブームだったのだが、その流れに乗れなかったのである。
テレビでもボウリング大会などを中継していたときもあったが、どこが面白いのかわからなかったのである。
もちろん、誘われてやることはあったが、温泉地のホテルで浴衣のまま投げたりする、というような酔ったいきおいでの遊びであって、スポーツという意識は毛頭なかった。
今は一時のブームは去ったが、そこそこ余興のひとつして定着はしているだろう。
この映画のポスターは、ボウリングのピンが床に反射していて、それが弾丸の弾になっていて秀逸だと思う。なんでもアメリカのオリジナルはべつだん普通のもので日本の配給会社が新たに作成したものだという。そこで改めて認識したのはボウリングのピンの美しさで、きれいな曲線もっているオブジェだなぁということ。
ビッグ・リボウスキ/The Big Lebowski(アメリカ・1998年) という映画を最近みた。コメディの秀作といいながらあまり笑えない映画だが、湾岸戦争への風刺や70年代の郷愁が感じられた。
舞台になっていたのが
ボウリング場で、そこでくだくだしているオヤジたちが主人公なのだが、その映像描写とボウリングのピンがはじけるシーンとか、カメラ自体が玉となり指の穴からくるくる廻ったりするのを見せたりと、デティールを細かくとらえていた。
そこで気になるのは、やはり、あの
ピンである。
たいていボウリング場はどでかいピンが建物の上にそびえたち、ひと目でボウリング場だとわかる。あのスタイルは世界共通ではないかと思う。
また、おそらく70年代のスタイルがボーリングの場の基本デザインなのだろうが、サーモンピンクがメインとなる配色や流線型のインテリアなど、70年代の特徴的なデザインが溢れている。そういえばモビールなどオーガニックな不定形のデザインを正面からとらえられているのが70年代だったと思う。
ボウリングに象徴されるのは豊かさのシンボルとしてアメリカであり、消費社会の見本としてのアメリカの夢などではあるまいか。