昨日ラジオに国際政治学者の藤原帰一(東京大学)が出演していた。話としてはイランの核開発について、アメリカが攻撃するどうかなのだが、あまりおもしろくはなかった。
ただ、気になったのは「アメリカが思い違いをしているのは、民主化すれば機能する、アメリカの都合のいいように動かせると思っていることだ」という話だ。
たしかにポピュリズムやナショナリズムにより、好戦的な政権が出現する可能性はある。とくに中東やアフリカでイスラム原理主義が伸長しているし、イラクについてもフセイン政権時代はイスラム教が世俗化されていたので、さほど宗教的な縛りはおしつけられなかったが、今のイラクは宗教的な日常的抑圧があるという。
ジャーナリストの田中宇も中国について似たようなことを書いていた。
日本を不幸にする中国の民主化
中国に限らず、ロシアやイラクなど世界の多民族国家の多くは、リベラルな民主主義をやろうとすると、矛盾する各派の主張に収拾をつけられず、国内が混乱する。
事実ソビエト崩壊後の各国の民族共和国が独立するなか中央アジアのいくつかの国々では独裁的な政権が成立している。しかしアメリカはそれにはとくに問題視していない。
アメリカがリベラルな民主主義を称揚していても、ドルを押し付けてくるグローバルな帝国であることは間違いない。お金のうえにたったうすっぺらなリベラル民主主義をいくら宣伝しても、多くの人はそのスタイルでは貧しくなるということを感じているのなら、ファッショ的、民族排外主義的な指導者や意見に巻き込まれてしまうのは当然だろう。