なんか前も同じようなことを書いた気がするが、渡辺雅男の本とハート・ネグりの『マルチチュード』(NHK出版)を読んだので、気になることを書いてみたい。
渡辺雅男がハッキリさせているのは、階級意識を明確にもってあたっているのはブルジョワジーだということ、これまでもっぱら労働者階級の問題で、日本の労働者には意識がないだの、階級異動がある、形成されていないだの、否定的評価がおおかったが、ではその対抗勢力たるブルジョワジーについてはどうだったのかと問う。たしかに今は日本経団連という経営者団体があり、そこでこれからの日本のありかたなどを提言して、政治にも影響を与えている。
いっぽう労働者の側は連合、全労連、全労協などの労働者団体はあるものの政治に影響を与えているとはいいがたい。そこはレーニンが『帝国主義論』で展開した労働官僚・労働者階級の腐朽性があり、それが階級として分裂していて力が分散させられているのだ。