今週は東京も寒い。ひさびさ雪も降った。その前の週も深夜にヒョウが降ったこともあった。
冬らしいといえばいいのだが、今年は事務所の暖房が貧弱なので、ちょっと心配だ。だからというわけではないが、今週は3回も銭湯に通ってしまった。
冷えた体で帰宅するより途中の銭湯で温まっていくというわけだ。なんにしても寒風のなかを移動していると、湯気で霞む浴場を想像するだけで欲情するというか、ついフラフラと引き寄せられるように暖簾をくぐってしまう。酒で温めるという手もあるが、金との相談になるし、なにより広々とした湯船や洗い場にいるだけで安らぐし温まる。おまけにその銭湯にはサウナが無料なのである。今はほとんどのところでサウナが敷設されてはいるが、無料でサービスしているところは少ない。また、そこはスチームサウナなので、あまり苦しくない。好みの問題だがドライサウナよりもいいと思う。
先週末には熱海の温泉につかっていたので、お風呂がらみが続いているが、鬼太郎の目玉おやじのように、湯船につかっている時がサイコーでリラックスできるのである。まあ、この季節はそうなってしまうのだが。
鬼太郎といえば、昨日深夜にテレビをつけていたら「墓場鬼太郎」というアニメをやっていた。「ゲゲゲの鬼太郎」ならば、断続的にテレビアニメや映画になっていたが(今でも日曜・朝9時からフジテレビで放映中か?)、そのちょっと可愛らしくなった鬼太郎ではなく。貸本時代の貧相で人相のわるい鬼太郎キャラである。
もともと「墓場鬼太郎」という紙芝居があり、それが貸本マンガに引き継がれたという、そのなかで水木しげるのマンガが人気がでて、代表作ともなったと聞く。
ハッキリいって鬼太郎キャラは人気がでてくるについて、どんどん大衆迎合的になり、対照としての脇キャラであるねずみ男や目玉おやじ、ネコ娘などに人気がでてくるというかたちになっている。もっとも脇のほうがもともとおもしろいという話もあるが。
そいういう意味ではつまらなくなっているのだが、深夜わくでのアニメなので大人向けの内容になっているのだろう。ちゃんと観ていなかったが、今度チェックしてみよう。
銭湯の料金は430円だが、このぶんではなんども通いそうなので回数券でも購入しようかな4000円で10枚なのでお徳だし。
気になったのが、脱衣所などに貼ってある銭湯入浴時の注意書きのポスターだ。裸ではいること、タオルを湯ぶねにつけてはいけない、洗濯してはいけないなど六項目くらいの注意事項が記述してあるのだが、そこのイラストなのだが、筒井康隆の描くマンガキャラに似ているのだ。
作家・筒井康隆はデザインの仕事もしていたことがあり、SF作家として有名になってからマンガも描いていた。それが『暗黒世界のオデッセイ』(晶文社)という単行本にまとめられている。そのマンガは筒井らしいブラックユーモアのあふれる短編マンガがいくつかあるのだが、そこにでている絵柄がたいへんよく似ているのだ。
銭湯にある注意事項のポスターの絵はあまり上手とはいえないもので、ちょっとアナクロな感じもある。失礼ながら、筒井康隆もマンガとしては素人で絵もお世辞にもウマイとは言いがたい。それが奇妙に符合しているのは銭湯という日本文化に外国人を対象としているらしい、銭湯の注意事項であるからなのだろうか?
筒井康隆のマンガで日本を馬鹿にした(アメリカ人が日本を舞台にして想像で描いたという設定の物語だが、小林康彦にも『ちはやふる~』など同趣旨の小説がある)内容のものがあり、要はカルチャーギャップを笑いにしたものなのだが、それに通じるところがあるように思う。