『中国民居の空間を探る』(茂木計一郎ほか/東京芸術大学中国民居研究グループ著 建築資料研究社 1991年)をみると、「うだつ」は「馬頭壁」(マートービー)のようだ。
この本では「馬頭壁」と日本のうだつの関係について言及はない(そもそも、馬頭壁についての記述もない)。
いっぽう中国の民居(ミンチイ)=民衆の住まいについて、おおきな位置にあるのが天井(ティエンチン)であることがわかった。
天井とは住居に中心にある中庭から天にむかって開かれた天の井戸であるという。中庭のことであるのだが、むしろ外界とのつながり、たとえば朝日に照らされたり、陽の光をあびたり、雨風を受けたりする外界との接点という位置づけなのだろう。
また福建省の街並みについて、このあたりは各街路が騎楼(キロウ)をなしていると書かれている。華南の各地にみられる都市の街路スタイルらしい。
いわばアーケードのことだが、このスタイルは1階商店街の前面を柱廊として、アーケードを連なるものだが西欧の影響があるとしている。
以前台湾の都市について庇のある街路を「亭仔脚」(間南語)や「騎楼」(北京語)と呼んでいることを書いたが、中国大陸でも共通のようだ。 アーケードと表記すると道路前面を覆った商店街路(フランスではパッサージュとなるだろう)を連想するため、「騎楼」という言葉を使用しよう。
庇のある歩道―台湾の場合
庇 のある歩道あるいは屋根つき歩道(アーケード) 日本と外国