ニカラグアの壁画運動についての文章を読んだが、残念ながらそこには数点のモノクロ写真しか挿入されていなかったので、具体的に絵について知ることはできなかった。
ただ、モノクロの写真から判断するには、メキシコの壁画などの影響がうかがえるものであった。また、抽象的表現のものも見られた。
ニカラグアのナイーブアートとして「素朴画」があり、画集が出版されているので見てみた。
『
夢人館2 ニカラグアナイーフ』(小柳 玲子 1989年3月初版第一刷 定価5800円 岩崎美術社)
解説を読むと、これらの絵はまさに農民だったり、漁民だったりとふつうの民衆じしんが描いた作品なのだという。
エルナスト・カルデナルという詩人でニカラグア革命政権時代の文化相だった人によれば、なにもない村にいって、湯のみのあった手描きの絵に魅せられて、絵をかくようにすすめて絵具を渡したところすばらしい作品が描かれたというウソのような話なのである。
村にいた住民たちは我も我もと絵具を求めて描きはじめたのが「ニカラグアナイーフ」なのだという。
その意味で現代的でリアルな絵なのだろう。事実かれらの描くものには日常の生活や身のまわりの風景というものが多い。
ニカラグア素朴画