昔、内田栄一という劇作・演出家・脚本家がいた。
映画も撮ったことがあると思う。いわゆるアングラ演劇の範疇だが、
彼の主催していた劇団がたしか「クスボリ共同隊」という名称ではなかったか。
そのクスボリということばだが、特に気にとめなかったが、村嶋歸之(むらしまよりゆき)著作選集1巻の『カフェー考現学』を読んでいたら、このことばがでてきた。
村嶋歸之は名前がむずかしいが、1920年~30年代に活躍したジャーナリストで労働問題、社会問題、宗教・教育問題などのルポなどたくさんの著作があるという。
ところで大阪・神戸、東京で記者生活を送っていたそうで、都市のさまざまなことを書いている。そこで「映画館のクスボリと淫売」という節で、「多くのクスボリと言ふものが居る」と書いてある。
読んでいくと「不良少年」のことを指していることがわかる。要するにチンピラのことなのだろう。
別なものにあたると「下っ端」とある。
「対してクスボリというのは博徒の下っ端である。厳しい序列に縛られ、いつも親分の屋敷の玄関か土間で正座して小さくかしこまっている、それが火の消えた火鉢で燻っている炭団のようなのでクスボリと呼ばれたらしい。」
ヤクザの生活 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/5304/yakuza.html
どうやら関西発祥のことばのようだ。